たいこな実験ノート

働きながら音楽家を研究対象に大学院へと通うというある種の実験の記録

出願資格認定審査を受けて博士課程(後期)に出願

はじめに

ひさしぶりの更新となりました。ゆるゆるとやりますので、ご了承下さいませ。

博士課程(後期)の院試に向けて準備をしていました。実は私の現在の学歴は学士になります。はて修士課程は?ということで、本エントリーの内容は「学士卒が修士課程などをスキップして博士課程(後期)の出願をするには?」です。結論を言いますと、出願資格認定審査なるものを通過すれば可能です。無事に出願資格の認定を頂いたのですが、情報が無さすぎて困ったので参考として残しておきます。

出願資格認定審査とは?

博士課程(後期)への出願可否ついて判断するための審査です。博士課程(後期)に進学する際には修士課程や博士課程(前期)を修了している方が多いかと思います(データが示せず、感覚的なものですが…)。文部科学省が定める入学資格を覗いてみると、博士課程(後期)の入学に必ずしも上記の課程を修了している必要は無いと分かります。

博士課程(後期)の入学資格について:文部科学省

(2017/10/01アクセス)

文部科学省が定める入学資格の最後の2つがポイントです。引用いたします。

6. 大学等を卒業し、大学、研究所等において2年以上研究に従事した者で、大学院において、修士の学位を有する者と同等の学力があると認めた者(平成元年文部省告示第118号)

7. 大学院において個別の入学資格審査により認めた24歳以上の者(施行規則第156条第6号)

これらに基づいたものと考えられますが、各大学院では募集要項の出願資格一覧の最後の方に「修士の学位を有する者と同等の学力があると認めた者」に類する文言が入っています。出願資格が認められて始めて出願が可能ということで、私が確認した限りでは全ての大学院で出願期間の前までに審査を受けるように指示を出しています。どの程度前なのか?何を提出するのか?は大学院によって違うので注意が必要です。

Benitakeの場合

私自身は、学士卒でそのまま民間企業の研究開発職として就職したため、修士課程を修了していません。4月から大学院に行ってますと「自己紹介」で書きましたが、研究生という身分で通っておりまして、進学は来年です。

審査までのざっくりとした流れ

以下のスケジュールで出願資格認定審査を受けました。出願書類の提出〆切日を基準に書いています。私の場合、審査を受けるために出願資格認定願の提出が必要になりました。

2ヶ月前:研究室の先生と相談
1ヶ月前:出願資格認定願の提出
2週間前:審査結果の到着
→ 出願書類提出

私が出願した大学院では、このように審査結果から提出まで期間がありませんでした。そのため、出願資格認定願の準備と並行して、成績証明書の取り寄せなどの出願書類の準備を進めていました。先生との話では出願資格は得られるだろうとのことで、早めに進めていました。

大学院によっては出願2ヶ月前が申請〆切日だったり、「あらかじめ問い合わせること」と曖昧だったりします。進学希望先が定まった段階で早めに調べることを強くお薦めします。「そろそろ院試だな。募集要項でも見るか」と見たら予想以上に早めに〆切が設定されていて焦ることになります(経験者談)。

出願資格認定願に書いたこ

私が出願する大学院では、「修士課程を修了相当であると考える理由を書いて下さい」というのが出願資格認定願に求められた内容です(書式は任意)。ここも結論を先に書きますと、自分の研究実績を記載しました。

記入にあたり正直困りました。情報が無いのです。社会人博士になる方は皆さん修士を修了しています。唯一参考になったのは中央教育審議会の答申「新時代の大学院教育」(Sep. 2005)の記述です。

新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて-答申:文部科学省

(2017/10/01アクセス)

修士課程は,幅広く深い学識の涵養を図り,研究能力又はこれに加えて高度の専門的な職業を担うための卓越した能力を培う課程である。

なるほど、「幅広く深い学識の涵養を図り,研究能力又はこれに加えて高度の専門的な職業を担うための卓越した能力」があることを示せばよいと。という訳で、大学在学中から現在までの情報を載せられるだけ載せた文章を書きました。主に、研究業績や業務について守秘義務に違反しない範囲の内容(=論文として公開した内容)について書きました。また、該当する業績を参考文献のように記載し、業績リストを最後に付けました。「〜についての研究を〜で報告しました(業績 1)」という感じです。ちなみに私の業績はこんな感じです(2017年9月現在 入社満4年5ヶ月、工学のとある一分野)。


・査読付き論文誌 1件(筆頭著者、レター相当)
・査読付き国際会議発表 3件(筆頭著者 2件、3件とも口頭発表)
・国内学会発表 14件(筆頭著者 9件)
・特許出願 3件(筆頭発明者 1件)

分野によって異なるので、業績の多寡については述べません。一応はこれらに加えて約4年半の研究開発業務の経験でもって、出願資格が認定されたことになります。

任意書式ということでこの内容である必要はありません。また、進学したい大学院によっても内容は異なるはずです。思い立った方はまず、進学先の先生に相談してはいかがでしょうか?

おわりに

出願資格認定って何というところから、私が何を書いたのかについて記述しました。修士相当の研究開発業務の経験があれば、認めて頂けるようです。

私個人としては多様なキャリアのあり方があって良いだろう考えています。そのため、学士→就職→「いきなり博士課程(後期)+ 働きながら」という例が増えても良いと思い、自分の例を公表しました。誰かの役に立てば幸いです。